個人事業での廃業はそれほど手間がかからず、開業の時に提出した届け出を取りやめる形で税務署に廃業届を提出するだけです。
法人成りによる廃業でも業績が悪化して廃業する場合でも基本的には同じですが、法人成りの場合は会社設立後に廃業届を提出することをおすすめします。
提出期限が「廃止等の事実があった日から1か月以内に」となっており、また法人成りの場合の「設立法人名」の記載箇所もありますので、順序としては法人を設立した後、個人事業の廃業届を提出する形になります。
メインとなる書類は税務署への「個人事業の開業・廃業等届出書」です。開業した時と同じ要領で廃業届を提出するとよいでしょう。
■個人事業の開業・廃業等届出書
下記のページにマイナンバー(個人番号)の記載箇所がある最新の様式のPDFがありますので、そちらをプリントアウトして所轄の税務署に提出するとよいでしょう。
[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
※PCもしくはスマートフォンからアクセスして下さい。
■廃業日について
法人成りの場合、法人の設立日の前日を廃業日にするとよいかもしれません。
法人住民税の月割は「1月に満たない端数は切り捨て」となっており、1日の会社設立なら丸1か月分の法人住民税がかかったり、2日の設立で1か月に満たない場合は切り捨てで1か月分がかからないなどの違いがあります。
また、個人事業税の事業主控除については、1か月に満たない月でも切り上げで1か月分にカウントされて控除額が増えるなどの事情があり、会社の設立日を月の途中にするケースも多いです。
当サイト運営者は1日に廃業、翌2日に会社設立しましたが、1日の違いでも税額に違いが出てくるので注意しましょう。
■その他の書類
上記の廃業届をよく見ると法人成りの場合の「設立法人名」のほか、「開業・廃業に伴う届出書の提出の有無」などの記載箇所があります。
青色申告の承認を受けていた場合は「青色申告の取りやめ届出書」、消費税の課税事業者だった場合は「事業廃止届出書」なども合わせて提出しておきましょう。
ちなみに、専従者などに給与を支払っていた場合、ネット上では「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出も必要との情報が多々あります。
けれども、当サイト運営者が国税庁のホームページで確認した限り、上記の廃業届を提出する場合、こちらについては不要と思われます。
そのため、もし白色申告で消費税の課税もなかった場合は廃業届だけになりますが、その場合でも下記の県税事務所への廃業届は提出しておくようにしましょう。
これらの届出はPDFをプリントアウトしての紙による郵送のほか、パソコンにインストールするe-Taxソフトからも提出することができます。e-Taxのソフトの種類については、こちらのページをご参照ください。
→ e-Taxで確定申告する方法
ソフトをインストールした後、「作成」→「申告・申請等」→「申請・届出(A)」→「所得税」や「消費税」、「源泉所得税」の箇所から上記の届出書を提出することができます。
当サイト運営者は廃業届と青色申告の取りやめ届出書だけでしたが、e-Taxから提出しました。
e-Taxソフトは法人成り後の法人税の申告などでも使えますので、インストールしておくと便利です。ただし、法人の方でも利用者識別番号を個人とは別に取得する必要があります。
上記の税務署への廃業届のほか、個人事業税の関係で都道府県税事務所へも廃業届が必要になります。
けれども、様式は自治体によって違いがあり、名称も「個人事業税の事業開始等の届出書」とか「事業開業・休業・廃業報告書」、あるいは「 開業(廃業)事務所等設置(移転・廃止)報告書」などあまり統一されていません。
また、Excelファイルのみだったり、PDFファイルのみだったりと違いがあります。
この個人事業税については経費になる税金ですが、翌年に支払う時には廃業しているため、特例としてその年の経費にすることができます。計算方法が特殊なため、県税事務所へ連絡して計算してもらうようにするとよいでしょう。
お恥ずかしながら、当サイト運営者はこの届出をすっかり忘れていたのですが、県税事務所へ個人事業税を計算してもらって未払い計上していたので、特に不都合はありませんでしたが、きちんと提出しておきましょう。
屋号付きの個人事業の銀行口座についてですが、屋号には法的な効力はないため、通常の個人の銀行口座と特に変わりはありません。そのため、廃業後もそのまま使っていても問題ないですが、銀行口座に関することなので、念のためお使いの銀行へ問い合わせることをおすすめします。
当サイト運営者は法人化したあとも個人事業の頃からの取引先から入金がありますが、諸々の事情で振込先を法人口座に変更してもらうのが困難なため、そのまま5年ほど個人事業の銀行口座を使用しています。
税務処理さえきちんとしていれば、特に問題になることはないかと思いますが、お使いの銀行へ確認してみることをおすすめします。
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