基礎控除とは何か?

基礎控除というのは、誰にでも無条件で一律に適用される所得控除のことです。

この基礎控除の金額は「38万円」となっているため、年間38万円を超える所得がない限り、所得税は発生しない仕組みになっています。(※2020年分からは「48万円」に増額される予定です。)

この基礎控除が設定されている理由についてですが、納税者本人が生活を維持するために最低限の金額は必要なため、その部分については所得から控除するという趣旨のものです。

ただし、年間38万円では月3万円程度の計算になるため、食費だけを考えると妥当な線かもしれませんが、家賃までを含めると年間38万円では足りないはずです。所得税法・第八十六条の基礎控除の箇所に「居住者については」とあるため、おそらくは住む家のあることが前提となっている金額なのかもしれません。

所得税法

(基礎控除)
第八十六条 居住者については、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から三十八万円を控除する。
2 前項の規定による控除は、基礎控除という。

ちなみに、一般の扶養控除でも控除額は38万円となっていますが、人間が最低限の生活をするために必要な金額があるため、それを維持するための所得からは税金を取らないという趣旨になっています。

所得税の基礎控除額は「38万円」

基礎控除の金額については、所得税が「38万円」であるのに対し、住民税は「33万円」となっており、両者で5万円の違いがあるため、税金が発生しだす金額に違いがあります。

所得税の場合、誰にでも「38万円」の基礎控除額があるため、所得が年間38万円を超えない限りは所得税が発生しません。加えて、給与所得者の場合はさらに給与所得控除も無条件で発生するため、控除額は最低でも65万円となり、「38万円+65万円」の合計で「103万円」の所得控除が無条件で発生する計算になります。

そのため、給与所得者の場合は年収103万円を超えない限りは所得税が発生しない計算になり、パート主婦の方は年収103万円以内に収まるように働く時間を調整する人も多いです。これはいわゆる年収103万円の壁などともいわれています。

2020年分からは「48万円」

2020年分からは基礎控除額が10万円増額されて「48万円」となる一方、給与所得控除が10万円減額されますが、この場合でも「48万円+55万円」で「103万円」となるため給与所得者は特に変更はありません。一方、個人事業主の場合は基礎控除が10万円分増えることで減税となります。

また、2020年分からは所得による上限が設定されるようになり、合計所得金額2,400万円超から控除額が減少し、2,500万円超で基礎控除がゼロになります。

ちなみに、2020年3月頃の確定申告については、2019年分(令和元年分)になるため、実際に影響が出てくるのは2021年の3月頃に確定申告をする2020年分からになります。

住民税の基礎控除額は「33万円」

一方、住民税の基礎控除額は「33万円」しかないため、給与所得控除の65万円と合わせても計算上は「98万円」になります。(※2020年分の所得に対する2021年度の納税分からは43万円に増額予定。)

けれども、実際には住民税には非課税限度額制度があるため、「35万円」+「65万円」で「100万円」までは非課税になります。

住民税の非課税限度額制度について

住民税については、基礎控除の「33万円」とはまったく別に「非課税限度額制度」があり、その基本額が「35万円」となっているため、給与所得控除の「65万円」と合わせて「100万円」までは非課税となる仕組みになっています。さらに、世帯人員数が多い場合には人数に応じて金額も増えていきます。

ただし、この非課税限度額制度の「35万円」は所得控除ではないため、100万円を超えて課税対象となった場合には、基礎控除「33万円」と給与所得控除「65万円」で控除額は「98万円」になります。

仮に年収101万円の場合、住民税の課税所得は「101万円-100万円」で1万円という計算ではなく、「101万円-98万円」で3万円の計算になるため注意しましょう。

2020年分からは43万円

住民税の基礎控除についても2020年分から10万円の引き上げになりますが、住民税は前年分の所得で計算されるため、実際に影響が出てくるのは2020年分の所得に対する2021年度の住民税からになります。そのため、概ね2021年の6月頃から減税となる個人事業主も出てくるはずです。

また、住民税の基礎控除についても所得制限が設定されており、2,400万円超から減少して2,500万円超で基礎控除の設定がなくなります。