小規模企業共済に加入して節税対策

個人事業主や中小企業経営者の定番の節税対策に小規模企業共済があります。この小規模企業共済は経営者のための退職金制度ですが、掛金の全額が所得控除の対象になります。加えて、いざとなった際には積立分から低利での借入を受けることもできます。

中小機構:小規模企業共済
https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/

掛金は毎月1,000円~70,000円の範囲で自由に設定できるため、収入に応じて自分のペースで積み立てることができます。仮に掛金が月7万円の場合は「年間84万円」の所得控除となり、加えて1年以内の前納も利用できますので、今年分と翌年分を合わせて「最大168万円」の所得控除を得ることができます。

ちなみに、この小規模企業共済と国民年金基金(月額68,000円、年額81万6千円)はそれぞれ別に加入できますので、両方合わせると最大249万6千円まで所得控除を増やすことができます。

この所得控除によって、実際にいくらぐらいの節税効果が見込めるかについては課税所得の金額によって違ってきます。

課税所得が多いほど節税効果も高くなり、一概にはいえませんが、仮に課税所得が1,800万円を超えている税率50%(所得税+住民税)の高額納税者の場合ですと、掛金の半額程度の節税効果が見込めます。高額所得者の場合は最大168万円の掛金をすることで、84万円程度の節税効果が見込めると考えてよいでしょう。

また、一般的な課税所得が400万円程度の場合でも掛金の3割ぐらい、200万円程度の人の場合でも約15%の節税効果が見込めます。(※年収ではなく、課税所得の金額です。)

仮に、月15,000円の掛金で年間36万円を払ったとしますと、課税所得400万円で税率30%の人は約10万円程度、課税所得200万円の人で税率が約15%のでも約5万円程度の節税効果が見込まれます。

また、前納をする場合は「前納減額金」があるため、ほんのわずかですが割引になります。減額金が5千円未満の場合は翌年に繰り越しされ、合計額が5千円以上に達した際に振り込まれるため、中小機構から5千円程度の入金があった場合は「前納減額金」かもしれません。ただし、減額率は2017年に1,000分の5から0.9に引き下げられましたので、掛金にもよりますが、5千円に達するまでには時間がかかるかもしれません。

小規模企業共済のデメリット

この小規模企業共済のデメリットは、長くかけ続けないと解約した際に戻ってくるお金が少なくなる点にあります。納付月数が20年未満の場合、掛けた金額の合計額を下回りますので、かなり長い期間かけ続ける必要があります。

納付月数によって80%~120%の幅がありますので、すぐに自己都合で解約してしまった場合には掛金は満額かえってきませんが、廃業や会社の倒産の場合などによっても返ってくる割合が違ってきます。

一方で、仮にすぐ解約する結果になってしまった場合でも、節税効果でそれ以上の金額になる可能性が高いです。また、積み立てた分から借入することもできます。

ただし、この貸付を受ける場合についてですが、掛金の7割~9割の範囲内になりますし、加入後、12か月以上の掛金を納付していることが条件になりますので、すぐに借入ができるわけではありません。

手持ちのお金がまったくない状態での加入は厳しいかと思いますので、当面は使うことがない余裕資金で積み立てていくことをおすすめします。

事業資金の借り入れも可能

当サイト運営者も小規模企業共済は利用しておりますが、二度と来ないであろうチャンス到来の時に、掛け金のなかから低利で借入をすることができたのでとても助かりました。

事業主の場合、一般的な消費者ローンやキャッシングなどは利用しにくいですし金利も高くなりがちです。その点、小規模企業共済の場合は「1.5%」の低利で積立分から貸付を受けることができるので、貯金的な感覚で利用してみるのもよいかと思います。

借入の際は印鑑証明書や収入印紙が必要ですが、商工中金などですぐに借りることができます。当サイト運営者の場合、具体的な使用使途については詳しく聞かれませんでしたし、手続きについても30分程度で済みました。

万一、借入が長期化する場合でも、年に1回、低利の利息分のみを支払うことでの借り換えが可能です。また、1部のみ入金による減額借換もできるので、業績が回復するまで借りっぱなしの状態でも特に負担になることはありません。

現在のところ、一般貸付けの利率が年1.5%となっていますので、100万円を1年間借りたとしても利息は1万5千円程度です。(※2016年時点の利率)

稼ぎの多い年度には、ある程度の金額をまとめて積み立てておくことをおすすめします。

小規模企業共済の申込み方法

実際に申込むには窓口となっている団体から加入しますが、この加入手続きはけっこう難しいと思います。私の場合は税理士が対応してくれたので助かりましたが、一般的には商工会議所や銀行などの金融機関が加入窓口になるかと思います。

私は年会費がかかるため参加しておりませんが、一般的には商工会議所経由で申し込む人が多いようです。また、都市銀行などの金融機関を加入窓口にすることができますが、あまりスムーズにはいかないかもしれません。

銀行員の兄に小規模企業共済の加入について聞いてみたところ、まったく理解していないようでした。おそらく、行員自身もパンフレットを持ってきて調べてという感じになるかと思いますし、イレギュラーな業務というか、強くいわないと対応してくれないかもしれません。

また、掛金増額の際の振替依頼で銀行に行ってきた時のことですが、窓口の銀行員さんが中小機構に確認の電話をしながらの手続きとなったので、けっこう時間がかかりました。

こちらのページの代理店一覧の箇所にPDFで掲載されていますので、銀行で加入窓口であるのかを確認してみることをおすすめします。
加入窓口|小規模企業共済(中小機構)

もし税理士と顧問契約をしている場合には、まずは税理士さんに相談されてみるとよいでしょう。