法人決算と個人事業の決算の違い

法人決算が個人事業の決算と大きく違う点は、法人税法上の益金損金の考え方にあります。

個人事業では所得税法で計算するため、会計上の「利益」から課税所得を算出して税率をかければ納税額が出てきます。一方、法人の場合は法人税法が適用されるため、「利益」ではなく「益金」の考え方を元に計算することになります。

法人決算は益金や損金の申告調整がポイント

法人の「益金」は個人事業の「利益」と概ね似たような意味合いではあるものの、少し意味が違っており、会計上の利益を計算したのち、さらに法人税法上の「益金」や「損金」に該当する部分を申告調整することで所得金額が出てきます。

個人事業 → 所得税法 →(収益-費用=利益)
法人   → 法人税法 →(益金-損金=所得)

会計上は利益であっても、それが法人税法上、税金の対象になるものとならないものがあるため、それらを加算や減算をしてから計算することになります。

例えば、会計ソフトで交際費を経費に計上しても、法人税法上は一定以上の金額は損金には参入できないため、その損金にできない部分を所得に加算して調整してから計算します。法人の決算ではこの申告調整の部分が新たに加わるため、個人事業の決算とは大きく違う点になります。

具体的には別表四の箇所になりますが、実際の計算手順についてはこちらのページをご参照ください。
法人税の計算手順

別表四

また、この法人確定申告の書類は小さな文字でびっちりと書かれており、専門用語なども多用されているため、個人事業の確定申告よりも少し難解かもしれません。

けれども、零細一人会社の場合は使用する書類も少ないですし、申告調整をする箇所についてもそれほど多くはないため、1度申告すれば、翌期からはそれを元に機械的に対応することができるはずです。個人事業の確定申告に慣れている方でしたら、ネットや書籍などで調べていけば、自分でも法人の確定申告には十分に対応できるレベルかと思います。

特に、万年赤字決算の場合、納税額は法人住民税の「7万円」のみで確定するため、ほとんど手間はかからないはずです。

また、申告する際にはe-Taxを利用して確定申告すると計算も楽になります。
法人税の電子申告(e-Tax)の手順

ただ、個人の確定申告と比較すると法人の確定申告の情報はネット上ではそれほど多くないですし、また国税庁の確定申告書等作成コーナーなどの便利な支援サイトもないため、初年度はある程度は時間がかかるかと思います。

もし余力があるようでしたら、最初の第一期目のみでも税理士に法人決算を依頼し、翌期からはその決算書の様式を元に申告するのが効率的かもしれません。