持続化給付金で不正受給者が続出

持続化給付金についてですが、全国で不正受給による逮捕者が続出しているとのことです。

持続化給付金は、10月12日までに給付件数が約354万件、給付額は約4.6兆円にのぼっていますが、各種の報道によると不正受給は1000件を超えており、逮捕者もこれまでに34人出ています。

単純に計算しますと、現時点での不正率は0.03%程度の計算になり、この数字が多いのか少ないのかは分かりませんが、今後も逮捕者が続出していくことが予想されています。特に10代、20代の若年層での不正受給が多い傾向にあり、気軽に申請してしまった人も多く、逮捕の報道を受けて自主的に返還したいという申し出が殺到しているとのことです。

持続化給付金は民法上の贈与契約

申請の際の給付規程にも記載されているとおり、持続化給付金は民法上の贈与契約となっています。

当事者が申請者と中小企業庁長官になるのかは不明ですが、いずれにしても国が申請者に贈与する民法上の契約になるかと思います。

この規程には「原則として民法(明治29年法律第89号)が適用され」とあり、また「行政不服審査法(昭和37年法律第160号)上の不服申立ての対象とならない」とありますので、不正受給と認定されても不服の申し立てなどはできないようです。

とはいえ、「申請者等から不服の申出があった場合は、適宜再調査を行うなど、必要な対応を図る。」とのことです。もし正当に受給されていたのであれば、一方的に不正受給と認定されるわけではなく、正当性を主張できる場はあるはずなので何ら心配する必要はないかと思います。

また、不正受給の際の加算金についても、国税通則法の加算税や重加算税のようなものとは性質に違いがあるのかもしれません。

一方、架空の事業などで内容を偽って給付金をだまし取っていた場合、民法が適用される贈与契約上の罰則とは別に、詐欺罪での刑事罰も科せられる可能性があります。

不正受給による刑法上の刑事罰について

最近では大学生などの逮捕者が続出していますが、10月6日の経産大臣の会見によると、「中小企業庁が調査を開始する前に」自主的に返還した場合、2割の上乗せ加算金を求めないとのことです。

ただ、各種の報道によると、自主返還で贈与契約に記載されている加算金は科されないものの、刑法上の刑事罰については別途に警察が判断するとのことです。

経産省は自主返還した場合の刑事罰については明言されていませんが、事業者ではないのに、あたかも事業者であるかのように内容を偽って給付金をだまし取った場合、刑法第246条の詐欺罪に該当するかと思われます。

この場合、中小企業庁への給付金の返還とともに、警察へ自首すれば、少なくとも逮捕による身柄の拘束を避けられる可能性は高くなるかと思いますが、まずはパンフレットに記載されているコールセンターに連絡されるとよいでしょう。

もし組織的に不正受給を行っていた場合には警察による捜査が入るかもしれませんので、そのような場合は自首した方がよいかと思いますが、単純に記載する金額を間違えていたなどのケースもありますので、まずはコールセンターにて相談することをおすすめします。

一方、いったん不正調査が入り、結果的に不正受給と認定されてしまった場合、この場合は規定の第10条に記載されているとおりの対応になるかと思われます。

第10条には、給付金の全額と3%の延滞金、さらにこれらの合計に2割増しのペナルティーに加え、「事務局は、不正の内容により、不正に給付金を受給した申請者を告発する。」との記載があり、おそらくは詐欺罪での刑事告発になるかと思いますが、詐欺は「10年以下の懲役」となっています。

いったん調査が開始されてしまうと逮捕されてしまう可能性もあり、万一、身柄を拘束された場合の影響は計り知れないものがあるため、誤って受給された際ははやめの対応をおすすめします。