役員貸付金の利率が下がってきた!

社長が会社からお金を引き出す際には「役員貸付金」という方法があります。

会社から社長個人に貸し付けるお金が「役員貸付金」、逆に会社が資金不足で社長から借入をするのが「役員借入金」ですが、以下のような違いがあります。

役員貸付金:会社 → 社長(利息を取ることが必要)
役員借入金:社長 → 会社(利息なしでOK)

役員貸付金の場合、会社と社長個人の間での貸し借りになりますので、社長の所得にはあたらず、所得税や住民税などが発生することはありません。そのため、損金不算入となる役員賞与で会社からお金を引き出すのと比べると税金上のメリットがあります。

けれども、社長への貸付を無利子でおこなってしまうと役員賞与とみなされてしまい、社長個人に所得税や住民税の負担が発生してしまいます。また、役員賞与とはみなされるものの、会社の方では定期同額給与ではないために損金不算入となってしまいます。

そのため、金銭消費貸借契約を締結し、必ず会社が社長から利息を取る必要があります。この会社側が社長から受け取る利息については、「受取利息」として計上しておくとよいでしょう。

一人会社の場合、この役員貸付金が常態化しやすい傾向がありますので、ついつい貸付金が積もり積もってしまい、処理しきれなくなってしまう可能性があります。翌期に役員報酬を増額して対応するか、あるいは税金負担を覚悟で役員賞与で一括で処理することになるかもしれませんが、できるだけ、会社のお金には手をつけないことをおすすめします。

小規模企業共済から借り入れる場合は「年率1.5%」ですし、こちらは定期同額などは考えなくてもよいため、できるだけ、小規模企業共済の貸付金制度を利用する方がよいでしょう。

役員貸付金の利率が「年率1.8%」まで低下か?

この役員貸付金の利率についてですが、ネット上で検索してみますと「年率4.3%」という数字が多いようです。けれども、こちらは数年前の古い情報ですので、平成27年の現在では「年率1.8%」まで低下してきています。

この役員貸付金の「1.8%」というのは、銀行からの借入がない場合の特例基準割合になりますが、昨今の金融緩和で低金利の状態が続いてますので、世間一般なみに利率が下がってきたのかもしれません。
参照:)No.2606 金銭を低い利息で貸し付けたとき

平成26年度は「1.9%」、平成27年度からは「1.8%」の利率で計算することができますが、これは締結した年度に適用されるものですので、ずっと以前から継続して借りている場合は当時のままの利率で計上する必要があります。もし可能であれば、借り換えをして利息の負担を軽減するのがよいかもしれません。

この1.8%というのは、来年はまだ下がる可能性があります。黒田さんの異次元緩和の影響により、市中にはお金がだぶついているようですし、マイナス金利導入の影響などで来年もさらに下がっていくのではないでしょうか。(詳細不明)

この社長への役員貸付金で注意しておきたい点は、銀行からの融資を受けずらくなる可能性があります。銀行が会社へ事業資金として融資しても、そのお金が会社から役員貸付金として社長個人が引き出していたら、銀行側もあまり気持ちのよいものではありません。

ただ、社長一人の個人会社で銀行からの借り入れがない場合には、この役員貸付金を有効に活用してみるのもよいでしょう。