介護保険料の納付は40歳以上が対象

介護保険は40歳以上の全員が強制加入となっており、介護保険料を納める必要があります。40歳~64歳までの人は健康保険料と一緒に納付し、65歳以上の年金生活者は基本的に年金からの天引きになります。

  • 40歳~64歳:第2号被保険者(40歳から徴収、健康保険料と一緒に納付)
  • 65歳以上:第1号被保険者(原則、年金からの天引き)

国民年金保険料の納付は20歳からですので、介護保険料の納付が40歳以上というのは中途半端な気もしますが、親の介護を考え出す年代の40歳以上の人が加入対象となっています。

ただし、「年齢計算に関する法律」により、厳密には誕生日の前日に「満40歳に達した」とみなされ、その満40歳に達した日(資格取得日)の属する月から徴収されます。そのため、「1日生まれ」の人に限っては誕生日の前月から徴収されることになります。

例えば、5月2日生まれの場合は前日の5月1日が資格取得日となり、そのまま5月分からの徴収となりますが、5月1日生まれの場合は前日の4月31日が40歳に達した日となるため、4月分からの徴収となります。

会社によって「翌月徴収」や「当月徴収」などの違いはありますが、いずれにしても40歳になると介護保険料も納めると考えておけばよいでしょう。

この介護保険料の納付は、サラリーマンの場合は健康保険料と一緒に給与からの天引きとなり、個人事業の自営業者の場合は国民健康保険料と一緒に納付することになります。

65歳以上(第1号被保険者)の介護保険料の計算

年金生活者の場合は基本的には年金からの天引きとなります。年金生活者が確定申告をする際、1月下旬頃に日本年金機構等から「公的年金等の源泉徴収票」がやってきますが、そちらにこの介護保険料なども含めた社会保険料控除の額があるはずです。

65歳以上で会社の役員などについている場合、健康保険料は会社の給与から天引きとなり、介護保険料は年金から天引きで別々になっているはずですので、忘れずに申告するようにしましょう。

保険料の金額は所得に応じて数段階に分かれており、当サイト運営者の自治体では13段階ですが、9段階や11段階、あるいは14段階などの市町村もあり、全国で地域差があります。基準額を元に所得の多い人は1.5倍、2倍などと保険料が増えていく仕組みになっています。

合計所得金額

紛らわしい点は「合計所得金額」の箇所かと思いますが、給与所得者の場合は給与所得控除を差し引いたあとの金額で、基礎控除38万円などの所得控除を差し引く前の金額になります。

例えば、所得税を計算する場合、103万円(年収)-65万円(給与所得控除)-38万円(基礎控除)で課税所得はゼロになります。

けれども、介護保険料の場合は給与所得控除を差し引き、基礎控除などの各種の所得控除を差し引く前の段階で計算しますので、103万円-65万円で38万円の計算になり、合計所得金額はゼロにはなりません。

公的年金収入金額

また、介護保険料で「公的年金収入金額」といった場合、公的年金等控除前の収入の金額になるため、こちらは所得ではなく、文字通り収入の意味になります。これらの所得レベルに応じて、所得の多い人は保険料が高くなっていく仕組みになっています。

この保険料を年金支給日に源泉徴収されるため、基本的に年6回払いになります。

ただし、年金額が年額18万円未満の場合などは納付書での普通徴収となるケースもあります。この普通徴収の場合で保険料の滞納が続く場合、一旦は高額な介護サービス料の全額を払うことになったり、自己負担額が3割になってしまう可能性もあるので注意しましょう。

介護サービスを受けるには要介護認定が必要

この介護保険料を納めることにより、介護サービスを受ける際の自己負担額が1~2割で利用できるなどのメリットがあります。

高齢者になると日常生活にも様々な介護が必要になってきますが、寝たきり状態にでもなれば、食事や入浴、着替えなども困難となり、これを家族だけで対応するのは負担が大きいです。親の介護などで仕事との両立ができなくなり、毎年10万人程度が離職を余儀なくされていると言われており、介護離職が社会問題化しています。

このような場合、介護申請をして調査員による訪問調査を受け、要介護認定を受けた上でその人に応じた介護サービスを利用すれば、家族の負担を軽減することができます。

現在のところ、この要介護認定は「要支援1~2」と「要介護1~5」までの7つの段階に分けられています。

それぞれの段階に応じた介護サービスを利用するには費用がかかりますが、上記の介護保険料を納めることにより、基本的には1割の自己負担額(一定以上所得者の場合は2割)でサービスを受けることができます。

例えば、月に10万円の介護サービスを受けたとしたら、自己負担1割の1万円の負担ですむということです。ただし、申請して要介護認定を受ける必要がありますので、親や自分自身に介護が必要と感じた際には、まずは要介護認定の申請をすると覚えておけばよいでしょう。

某有名俳優さんはこの介護保険をご存じなかったようで、マンションなどの資産を売却して介護費用を実費で捻出していたとニュースでやっていましたが、知っているかいないかで大きな違いが出てくることもあります。

なぜ介護保険の加入は20歳以上ではないのか?

この介護保険の加入が40歳以上となっているのは、40歳以上の人は親の介護を考える世代にあたり、また40歳は初老の時期に差し掛かることから、保険料負担の理解を得られやすいという理由からです。

健康保険については20代でも病院で治療を受けることがありますが、20代の人が介護サービスを利用することはまずありません。そのため、介護保険料の負担を20歳以上としてしまうと保険料負担とそれに伴う受益の関連性がなくなってしまいます。

さらに、介護保険制度は2,000年から施行されたものですので、現在の高齢者世代が若い頃には介護保険料を払っていなかったこともあり、単に財源が不足するからとの理由で加入年齢を引き下げてしまうと世代間の不公平感が増してしまいます。

加えて、介護保険料も含めた社会保険料は会社との折半になるため、20代まで引き下げてしまうと企業の会社負担分も大きくなります。以前から加入年齢引き下げが議論されてはきましたが、企業などからの反発を受けて見送られています。

一方で、団塊の世代が75歳を迎え、本格的に介護サービスを受け始める2025年頃には財源が枯渇することが確実視されています。さらなる保険料アップと給付制限では対応しきれないため、いずれは20歳以上の若年層も負担せざるを得なくなると予測されています。