経費計上漏れを防いで節税対策

白色申告の場合は経費を認めてもらえないケースもありますが、青色申告の場合は税務署の裁量で勝手に経費を却下することはできません。申告した経費を拒否するには、その根拠を示す責任が税務署側にあります。

そのため、青色申告の正規の簿記で記帳をしておき、領収書などの書類を保存しておけば、税務署の裁量で勝手に却下される心配がなくなります。正当な経費を確実に計上することを考えた場合、記帳や書類の保存には手間がかかるものの、基本的には青色申告で確定申告しておいた方が安心感があります。

また、税金は自己申告制なので、本来は経費に計上できるものであったとしても、納税者の勘違いで経費に計上していないケースも多々あります。

例えば、交通費や電話代、交際費や会議費など、事業でかかった費用なのに経費に計上し忘れてしまうこともあります。銀行取引などで明細記録が残っているものは計上しやすいですが、自分の財布から現金で払った場合などはうっかりしやすいです。

出金伝票で間接的な証拠を残す

当サイト運営者の場合、地下鉄はよく仕事で使いますが、毎回領収書をもらうわけにはいかないのでずっと経費には計上しておりませんでした。また、取引先にふるまったジュース代なども領収書をもらえるわけではありません。ほか、香典など領収書をもらうわけにはいかないケースが多々あるかと思います。

けれども、あとから「出金伝票」でも間接的な証拠を残すことで経費に計上できることがわかったのですが、少額であっても数年単位で考えるとわりと大きな金額になります。

「それ経費に計上できるよ。」と誰かが教えてくれることはありませんので、自分で確認して自己申告する必要があります。知ってるか知ってないかだけの違いですので、開業した際にはひととおり確認しておくとよいでしょう。

按分計算(アンブンケイサン)とは何か?

仕事とプライベートの両方で使っている電気代や電話代などの家事関連費についても、按分計算で経費に計上できるケースが多いです。

例えば、電気代や電話代、自動車(車体、保険、ガソリン代)、インターネットなど、仕事で使っている分もあるとすれば、それぞれの割合で分け、按分計算して経費に計上することができます。だいたい半分ぐらいというのではなく、仕事している時間などの割合から、根拠のある数字を割り出して経費に計上しておくとよいでしょう。

また、電話代などの通信費だったら、個人事業のホームページに電話番号を記載しておくとか、開業届の連絡先に登録しておくとか、実際に業務で使用していて、それがないと仕事にならないアピールをしておくのもよいでしょう。

交際費などについても、上様のような領収書では経費を否認される可能性もあります。きっちりと個人事業名で領収書をもらっておき、否認されることのないように経費に計上しておくことをおすすめします。

事業主の人件費との兼ね合い

一方で、細かい点まで対応してると時間ばかりがかかり、節税効果よりも自分の人件費の方が高くついてしまうかもしれません。例えば、仮に個人事業主の時給が1万円として、行方不明になった1,000円の領収書を探すのに2~3時間もかけていたら効率が悪いです。

1,000円の領収書が見つかった際の節税効果が300円だったとして、その300円を得るのに3万円もかけていたら意味がありません。税務署でもそう理不尽な対応はしないはずですので、否認されたらされたときと考え、割り切って対応することも大切かと思います。

ケースバイケースになるとは思いますが、金額が大きくなりそうな場合にはそれなりの証拠を残しておき、その他については効率優先で対応しておくとよいでしょう。