年度と何年分、事業年度の違い
学校や公官庁、あるいは大手企業などでは、1年の区切りを「4月1日から翌年3月31日」に設定しているケースが多いです。この1年間の区切りは「年度」と呼ばれています。
一方、単に何年分といった場合は「平成何年の1月1日~12月31日」、あるいは「西暦何年の1月1日~12月31日」のことを意味しています。年度の「度」の1文字があるかないかによって意味が違ってくるので注意しましょう。
・平成28年分(平成28年1月1日~平成28年12月31日まで)
・平成28年度分(平成28年4月1日~平成29年3月31日まで)
例えば、学校行事の卒業式で年度が使われる場合、その年度の卒業式は翌年3月の式のことを指しています。
■平成27年度の卒業式
→ 平成28年3月の卒業式のこと。(平成28年卒)
この年度には学校年度や会計年度、事業年度などの種類があり、一般的には4月から翌3月までが1年の区切りとされています。
課税期間や納付期間の「何年分」と「年度」の違い
個人事業の場合は事業年度を自由には決められず、「1月1日~12月31日」までと決まっているため、課税対象となる期間は「何年の1月1日~12月31日」までとなります。
けれども、納付期間については役所の会計年度である「4月1日~翌年3月31日」までが使用されるため、「何年分」や「何年度分」によって意味が違ってきます。国の財政法第11条には以下のように記述されており、また、自治体についても会計年度は「4月1日~翌年3月31日」で変わりありません。
財政法
「第十一条 国の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする。」
地方自治法
「第二百八条 普通地方公共団体の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。」
■所得税
所得税については「何年分」の所得税という呼び方が一般的です。例えば、「平成27年分の所得税を平成28年3月の確定申告で申告する。」といった場合、平成27年1月1日~平成27年12月31日の所得に対する所得税を、翌年の平成28年3月の確定申告で申告するという意味になります。
■住民税
住民税は「年度」を使うケースが多いです。所得税と同様、住民税についても課税対象となる期間は「1月1日~12月31日」までで変わりはありません。
けれども、住民税の普通徴収の場合、その年の4月から翌年3月までの役所の年度期間中に、第1期~第4期などの分割で払うことになります。第1期は6月頃になりますが、翌年1月の第4期にかけて原則4回払いで納付することになります。(※会社員の特別徴収の場合は6月から翌年5月までの12回払い)
例えば、平成28年度の住民税といった場合、前年の平成27年分(平成27年1月1日~平成27年12月31日)までの所得に対する住民税を、平成28年6月から平成29年1月ごろにかけて分割で払うことになります。
そのため、仮に平成27年の1月に大きな所得が発生したとすると、翌々年の平成29年1月まで関係してくるので注意しましょう。
■国民健康保険料
こちらも「年度」を使いますので、基本的には住民税と同じです。住民税の場合は4回の分割払いですが、国民健康保険料は7月~翌年3月までの10回に分割して支払うことになります。
■国民年金
国民年金も同じく「年度」で払います。こちらは毎月払いですので、4月~翌年3月の12回払いになります。
個人事業と法人の事業年度の違い
上記のように、個人事業の事業年度は「1月1日~12月31日」までとなっていますが、法人の場合は「4月1日~翌年3月31日」となっている会社が多いです。
けれども、法人は自由に事業年度を決めることができるため、必ずしも1年間の区切りが4月~翌3月末に設定されているわけではありません。中小企業によっては税理士が忙しくなる3月末の時期を避け、事業年度の開始時期を8月や9月に設定し、対応してもらいやすい時期を決算期にしている会社もあります。
■個人事業の事業年度
個人事業の事業年度は「1月1日~12月31日」と決まっているため、決算日は「12月31日」となります。法人の3月決算や7月決算のように自由に決めることはできません。また、一般的には年度ではなく「何年分」の確定申告といった言い方をします。
例えば、平成27年分の青色決算といった場合、平成27年1月1日~平成27年12月31日の期間に対する決算になります。あえて年度でいいますと、事業年度は1月1日~12月31日までの扱いなので平成27年度ということになります。
■法人の事業年度
法人の場合は事業年度を自由に決めることができます。一般的な大企業は、公官庁や学校の年度と同じ4月1日~翌年3月31日のケースが多いですが、なかには9月1日~翌年8月31日などの会社もあります。
この法人決算の場合は「年度」が使われるケースもありますが、会社によってそれぞれ決算期が異なっていて紛らわしいため、通常は「何年何月期決算」などという言い方がされています。
例えば、平成28年3月31日が決算日の場合は以下のようになります。
平成28年3月期決算(平成27年4月1日~平成28年3月31日)
これは平成27年度決算と同じ意味です。
上場企業の場合、ホームページ上で決算公告がされていることが多いので、機会があれば確認してみるとよいでしょう。