個人事業で開業しよう

屋号と商号(会社名)の違い

屋号とは?

カメラマンやフリーライターなどの個人事業主は「個人名」でお仕事をされている方も多いですが、飲食店や歯科医院、あるいは美容室などの個人事業ではお店が必要になります。

この店舗やお店の名称が「屋号」になります。

例えば、「〜屋」とか「〜商店」、「〜クリニック」、「〜サロン」、「〜美容室」あるいは「〜事務所」などの名称になりますが、何の業種なのかがすぐ分かる屋号を付けるのが一般的です。

この屋号を付けるには許可や申請などの手続きは必要なく、ほぼ自由に決めることができますが、法人と誤解されるような株式会社などの名称を入れたり、あるいは商標登録されている名称は使用することができません。開業届にはこの屋号を記入する欄がありますが、こちらは空欄のままでも開業することはできるため、屋号なしでも開業することができます。

また、屋号は自由に名乗ることができる一方、法的な効力は何もありません。屋号のみで個人事業用の銀行口座を開設することはできませんし、税金関係の公的な手続きも個人事業主が主体となって「個人名」で申告することになります。

商号とは?

一方、法人の会社名の場合は「商号」になりますが、こちらは会社設立の際に法務局に登記されます。屋号とは違い、登記することで法的な効力が発生しますので、銀行口座の開設や納税手続きについては法人が主体となって商号である「会社名」ですることになります。

この商号については、名称の前や後ろに「株式会社」や「合同会社」、「合名会社」、「合資会社」などの文字を会社の種類に応じて入れる必要があります。また、こちらの商号についても商標登録されている名称は使用できませんので注意しましょう。

屋号と商号の違いの実際例

この屋号と商号の違いについて、以下の会社が参考になるかと思います。

例えば、パソコンショップで有名なピーシーデポですが、公式サイトの会社概要では社名である「商号」と店舗の「屋号」は以下のよう記載されていました。

■商号:株式会社ピーシーデポコーポレーション

屋号:PC DEPOT(ピーシーデポ)
屋号:ピーシーデポスマートライフ店
屋号:PC DEPOTパソコンクリニック

あるいは、エステで有名なTBCは以下のように記載されていました。

■商号:TBC グループ株式会社

屋号:エステティック TBC

(※いずれも2017年時点での情報になります。)

商号については社名なのでひとつですが、屋号は複数持つことができます。個人事業でもお店や事業ごとに複数の屋号を付けることができますが、確定申告の際には複数をまとめて個人名で申告することになります。

個人事業(山田太郎) 屋号:A店、B店、C店
法人(山田株式会社) 屋号:A店、B店、C店

法人成りを見据えた屋号の付け方

屋号を付ける際、苗字を使用して付けているケースも多いですが、できるだけ事業主個人とは無関係な屋号を付けることをおすすめします。

事業で何等かのトラブルがあった際、ネット上で誹謗中傷を受けてしまう可能性もありますし、自宅兼オフィスの場合は個人情報の面でも不安があります。

そのため、事業主の苗字ではなく、扱っている商品やサービスに関連性のある屋号を付けることをおすすめします。上記の例でいえば、「PC」や「エステ」のように、何のお店なのかがすぐに分かる屋号を付けるとよいでしょう。

また、法人成りする際、屋号をそのまま社名にするケースも多いと思いますので、個人事業での屋号は法人化する際の社名にそのまま使われることになる可能性が高いです。

そのため、個人事業の開業時に何気なく付けた屋号が、その後の何十年にもわたって使うことになる可能性もあるため、十分に検討してから決めるとよいでしょう。もしネーミングセンスがない場合、業者に依頼するのもひとつの方法かもしれません。


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