当サイト運営者の場合、零細の一人会社でこれまで黒字決算を継続してきましたが、今期は赤字決算となる見込みです。
零細の一人会社の場合、自分の役員報酬を引き下げれば、会社の利益が増えて黒字になりますし、逆に引き上げれば人件費が増えて赤字になります。そのため、黒字決算でも赤字決算でも自由に決めることができますが、当サイト運営者は会社に内部留保を蓄えたかったため、これまで役員報酬を抑えることでコツコツと黒字決算を継続してきました。
けれども、赤字の欠損金は10年間繰り越すことができるため、業績がよくなった際に備えてコツコツと累積赤字を積み立てていくのもひとつの方法かと思います。
青色申告の法人には「欠損金の繰越控除制度」があり、赤字を「10年間」繰り越すことができるため、無理をして黒字化するよりも、いざ会社の業績が増えてきた時のために累積赤字を毎年コツコツと積み立てていくといずれ節税に繋がる可能性があります。
また、個人事業主の場合でも青色申告なら赤字を「3年間」繰り越すことができます。
仮に役員報酬を「引き下げない」場合、「引き下げた」場合と比較すると、社長個人の方で所得税や住民税、社会保険の負担が高いままの状態となり、10年間ではある程度の負担増にはなります。その一方、法人の方では赤字となる分、欠損金の繰越控除ができるため、10年後に大幅な増益となった際にはこの累積赤字と相殺できるメリットがあります。
仮に、法人所得で1,000万円なら300万円程度の法人税がかかりますが、年間100万円程度の赤字を10年間コツコツと繰り越すことでこの1,000万円の所得と相殺して「0円」にすることができます。
この毎年100万円分の赤字(※欠損金)を繰り越すための納税コストは、当サイト運営者の役員報酬の水準ではそれほどの負担ではなかったため、いずれ業績が大幅にアップした際に相殺するために、コツコツと会社の繰越欠損金を積み立てていくことにしました。
もちろん、いずれ会社の業績が急増することが大前提ですので、結局は万年赤字で解散してしまった場合、役員報酬を高めに設定していた税金分は払い損になります。総合的にシミュレーションをして検討されてみるとよいでしょう。
メガバンクや大企業では、長年この「欠損金の繰越控除制度」を利用して法人税を払っていなかったとニュースでやっていましたが、この制度は有効に活用すべきと思います。
一人会社の場合、法人の方で年間100万円分の赤字(欠損金)の繰越控除を作るには、役員報酬を100万円分引き上げればよい計算にはなりますが、この役員報酬引き上げに伴う社会保険料の会社負担15%の増加分なども考えると実際には100万円以上の繰越控除額になるかと思います。
こちらは当サイト運営者が試算した概算のため、正確な金額ではありませんが、配偶者控除なども含めると実際のコストはさらに低くなるかもしれません。
(※表についてはPCからアクセスしてください。)
役員報酬に対する社会保険の負担割合を約30%として、社長個人(15%)と会社負担(15%)の折半で計算してみました。年収400万円なら約30%の120万円として、社長60万円、会社負担60万円の折半で考えています。
例えば、役員報酬が600万円の状態で会社が100万円の赤字だった場合、役員報酬を600万円から500万円に引き下げることで100万円の赤字を解消することができますが、実際には社会保険の会社負担分の15万円も減少するため、多少は黒字になるかと思います。
仮に役員報酬を600万円のままにした場合、所得税と住民税の部分でその差額は13万円程度ですが、社会保険分の約30%を含めると43万円程度の負担になるかもしれません。
この社会保険料分を入れるか入れないかで違いが出てきますが、法人税で払えば、そのまま出ていくお金になるのに対し、役員報酬の社会保険で払う場合は将来の厚生年金額が増えるメリットがあります。
そのため、当サイト運営者は役員報酬をそのまま高いままにしておき、会社の方は赤字決算にすることを選択しましたが、黒字決算にするか赤字決算にするかは社長さんの考え方次第になるかと思います。
ちなみに、上記の表でいえば、サラリーマンの平均年収400万円での「所得税+住民税」の実効税率は25÷400=約6%、社保15%を含めても約21%になるため、法人税と比較して個人の税率はそれほど高くはないと感じております。
現在のところ、中小法人の実効税率は所得400万円以下で約21%、400万円〜800万円以下で約23%、800万円を超える場合には約33%と言われていますので、法人の所得で800万円を超えてしまう時に備えて、コツコツと赤字を積み立てていくとよいかもしれません。
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