個人事業から法人成りする際、一番のネックになるのは登記する場所をどこにするかということです。
個人事業は登記する必要がないため、賃貸マンションでも開業は可能ですが、法人の場合は登記する場所が必要なため賃貸物件での起業は困難です。
オーナーや管理会社に内緒で登記してしまった場合、契約違反で退去させられる可能性がありますし、トラブルに発展してしまうため、承諾を得ずに勝手に登記するべきではありません。了承を取った上でなら登記させてくれるケースもありますが、一般的な住居用の物件では非常に難しいです。
そのため、登記する場所に困った場合、登記する場所だけを貸してくれるバーチャルオフィスを利用することをおすすめします。
一般的に「レンタルオフィス」といえば、実際に小規模なスペースをオフィスとしてレンタルするものになります。
一方、「バーチャルオフィス」は実際にレンタルするスペースはないものの、登記する場所やポストだけを借りるものです。場合によっては、郵便物の転送サービスや来客対応、あるいは会議室の利用も可能なことがあります。
バーチャルオフィスは実際のスペースを借りるわけではないため、1ヶ月5,000円程度の格安で利用できるケースもあります。また、自宅とオフィスを分離することにより、ネット上での個人情報の流出などに悩むこともありません。
一方、デメリットでいえば、ひとつの住所に多くの法人が登記されることになるため、なかにはあやしい事業者も紛れ込んでしまう可能性があります。また、バーチャルオフィスで事業の実態がその場所にはないため、法人口座開設の際には断られることがあるかもしれません。
加えて、郵便物を逐次、代表者の自宅へ転送してもらえるケースは少なく、たいていは1週間に1度とか、もしくは10日に1度といった頻度になるため、納付までに期限の短い社会保険料などは間に合わなくなる可能性もあります。
当サイト運営者の場合、毎月の社会保険料をネット銀行のペイジーで納付していますが、バーチャルオフィスから代表者の自宅まで納付書の転送には時間がかかるため、期限内での納付が厳しくなるのが難点と感じています。
社会保険料の納付書の郵送は、原則として法人が登記している住所になるため、役員の住所などに転送してもらうことは難しいです。バーチャルオフィス側で転送してもらうのではなく、郵便局側に届け出をだして転送してもらうことも考えましたが、このあたりは難しいものがあるかもしれません。
そのようなメリット、デメリットはあるものの、年間6万円程度で登記住所を確保できるため、法人成りの際はお住まいの地域のバーチャルオフィスも検討されてみることをおすすめします。
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